ソニーが発表した過去最悪の最終赤字5200億円という業績下方修正は、あらためてエレキ事業の苦境を浮き彫りにした。
特に八期連続で赤字続きのテレビ事業は、今期だけで1750億円の部門赤字と散々だという。
丁度二年半前、当方は会社のコラムの中で日本のテレビ事業に警鐘を鳴らした。
http://pmi-c.weblogs.jp/social_eye/2009/10/post-ad7f.html
当時、日の丸メーカー各社は、顧客がたいして求めてもいない、技術ありきの3Dテレビに邁進し、価格優位を確立しようとしたが、この目論みは当方の予想通り完全に失敗に終わった。
今思えば、あのタイミングが少なくとも今後10年 日の丸テレビが浮上する機会を失ってしまった転機であったように思うし、日本のエレキメーカーの弱点を象徴している出来事であったとも思える。
3Dなどという技術者の自己満足にすぎない、技術ドリブンの商品開発モデルはエレキの世界では崩壊しつつある。
"何ができる"かより、"どう使う"か。
日本人は、このようなイノベーター思考(我々の研究ではアーリーアダプター思考だか、今回の論点ではないので一般論で書く)が極めて弱い。
ポケべルでコミュニケーションを確立するような発想ができた民族なのだから、ポテンシャルはあるはずだが。
appleにしてもFacebookにしても、日本の持っていた要素技術で不可能な技術など無かったはずだ。
ところが、どうもソニーの平井改革の雲行きは怪しい。
好調なデジタルカメラなど、垂直統合モデルをベストプラクティスとし、自前路線で独自性のあるプレミア製品による原点回帰を目指すという。
スティーブジョブスは死の直前、オバマ大統領との会談の中で、エレキ生産による雇用は米国には戻らないと明言した。
時代とともにビジネスの在り方は変化する。にもかかわらず、原点回帰とは。
過去の栄光という荷物を背負ったままでは、変化しようとする自浄機能が働かない。
これが、戦後の経済成長を近年まで続けてきた今の日本企業に共通する最大の問題だ。
現代に恐竜が復活したとて、生きていくこともままならないだろう。
変化の特に激しいエレキの世界で原点回帰とは、つまりそういうこと。
常に古いものを捨て、新しいやり方に順応すべき。ビジネスも生物の進化そのもの。
今、中国、インド、ASEANが世界の主役に躍り出て、時代が大きく変わる節目を迎えている。
当然、ビジネスの在り方も大きく様変わりするタイミング。
まだ、過去のやり方でもそこそこ稼げ、茹でガエル状態になっているので更に質が悪いのだが、日本の大企業も、過去の栄光に縛られず、人々のニーズに真摯に向き合い、新しい挑戦にリスクをテイクして望んで欲しい。
たぶん、それは原点回帰や過去のビジネスの在り方の延長では見えないものなのだと思う。